2005年6月 メガファンドへ – 2(さわかみ投信)

さわかみ投信のポートフォリオ管理システムは基準価額の目安をリアルタイムで算出でき、そこからファンド資産額も自動計算される仕組み。そのシステムに、2時59分、つまり東証があと1分で閉まるという時間になって「基準価額あと1円」と表示された。あと1円上がれば、計算上ファンド資産額は1000億円を突破するのだ。あと1円。そしてあと1分。社員の大半がポートフォリオ管理システムの周りに集まっていた。基準価額は「あと1円」の表示で止まったまま。自然と声が出た。いけ!いけ!いけ!

午後2時59分20秒、社員の一人が大声を上げた。「あと1円」と表示されていたシステムが「あと▲4円」で止まった。1000億円を突破したのだ。そしてそのまま市場は閉まった。

前場中に突破していてもおかしくなかった。または、いったん1000億円を突破した後、999億円との間を行き来しても不思議はなかった。しかし現実は違った。それまで見たこともないケタ数を残り40秒で突破し、そのまま止まったのだ。社員全員がそろう最もよいタイミングでそれは起こった。まさにドラマとしか言いようがない。

2005年6月17日、さわかみファンドはメガファンドの仲間入りを果たした。

その日、たまたま澤上龍が銀座にてラジオの公開生放送の出演予定だった。ラジオのリハーサル中、さわかみ投信の投信計理から突破確定の連絡がいった。対外的なメガファンド入りの初公表はラジオとなった。

早く仕事を終えて乾杯だ。皆、急かされるまでもなく急ぎ、社員全員で祝杯をあげた。そして澤上篤人がスピーチした。男泣きで言葉がところどころつまるスピーチは、何を言っているのかわからなかった。しかし言葉にならない言葉を社員全員が理解した。

翌日、酒も抜けぬまま後半組が東欧へ出発した。